「僕の方が背が大きいね」 そう言うと、君は必ず肩を殴ってきたよね。ほんの前までそうだったことが、今は懐かしい。 それがこんなにも切ないなんて知りたくなかったなぁ。 僕らの背丈は年々遠くなって、もう冗談も言えなくなった。 隣で歩く君の背が小さくなる。 黒々していた髪が灰色になっていく。 完全に白一色になった頃には、君は車椅子からベッド生活になっていた。 あんなに厳しい顔ばかり見せていた君は、ここ最近は穏やかに微笑んでばかりいる。 死ぬのは恐くないかい?と尋ねれば「あぁ」と答える。 本当に嬉しそうにそう答える。 時には「アルフレッドに早く会いたい」なんてことまで。 僕は泣きたくなる。怖いよブルース。僕は恐い。 君に置いていかれた後、僕は普通に生きていく自信がない。 そして今、君はその背丈の4分の1もないほどの墓石となって目の前にいる。 恐怖は消えて今は寂しさしかない。 ねぇブルース、君が死ぬのを微笑んで待っていた理由が今わかったよ。 死ぬのなんて恐くない。 君にまた逢えるなら、その日が待ち遠しいくらいだ。 君がどの星で生まれようとも、僕が迎えに行くから。 いつか来るその日まで、どうかお元気で。 2015/10/23 −そして僕らはまた出逢う− |