07,03.13

昼ドラ 『 拝啓 パパ上様シリーズ 』

第8話 「 真昼の事件 」


場面はスーパーのレジ
馴れた手つきでレジを打っているのは、子持ちバツイチの百鬼丸。
そこへ現れた一人の男。
口元に不敵な笑みを浮かべレジへと並んだ。

「 いらっしゃいませー。98円が1点、268円が1点、125円が・・・」

「 よぉ、久しぶりだな。」

客に話しかけられ、百鬼丸がふと顔を上げると、なんとそこには、別れたはずの元旦那が!!
思わず、絶句する百鬼丸。
硬直した手から、商品のキシリトールガムが音をたてず落ちていった。

「 なっなんで・・・・ 」

「 なんでって、ただの客だろ? 何そんなに驚いてんだよ。」

「 ・・・・そうじゃなくて、俺達別れたはずだろ!正式に書類だって通った!!」

「 だから? 」

「 だからって・・・?だから、・・・だからもう、近づくなよ!!! 」

声を荒げ叫ぶ百鬼丸に、客や他の従業員が振り向いた。

そこに、白髪ロン毛の従業員“田之介”が割って入った。

「 おい、何してんだよ、百鬼丸。他の客に迷惑だ。何があったか知らんが、客に怒鳴るな。」

「 ちっちがう、こいつは客なんかじゃ・・・・」

そこに、一人の男が走ってきた。この店の責任者である、店長 多宝丸だった。
多宝丸は、駆けつけるなり、三郎太に深々とお辞儀をした。

「 お客様、申し訳ございませんでした!!百鬼丸、お前も謝るんだ!! 」

百鬼丸は言葉を失った。そして、多宝丸に今までで一番の嫌悪と怒りを覚えた。


実は、初対面の頃から多宝丸とは馬が合わなかった。
些細なミスですぐに怒鳴りつけられ、困ったことがあっても手を貸してくれず、
挨拶をしてもシカトされることがほとんどだった。
他の従業員にもそうなら、まだ救いはある。嫌な奴で終っただろう。
しかし、他の従業員は揃って店長を「誠実な人」と言う。
そうなのだ、冷たい対応をとられるのは、百鬼丸だけだった。
そのことで百鬼丸の嫌悪感は一層膨れ上がり、最近では百鬼丸は多宝丸と
口を聞かないどころか、目も合わせなくなっていた。

そんな中で起きたこの事件は、より一層二人の溝を深めることとなった。


場面は今の状況に戻る。

「 はっははは、は。・・・なんだよ、これ・・・。もう、やってらんねーよ!!! 」

百鬼丸は身につけていたエプロンを勢いよく脱ぐと、レジに投げつけた。
そして、そのまま、従業員用の控え室に走っていった。

「 あっ、おい!百鬼丸!! 」

田之介は困惑した顔で、多宝丸と三郎太の顔を見ると、軽く会釈して百鬼丸を追いかけた。

残された二人。

「 あ〜〜〜・・・なんていうか、大丈夫ですよ。おれ、気にしてないんで。
にしても、お宅のパートさん精神病かなんか?突然怒り出しちゃってさー、俺もーびっくり。
あっ、でも本当気にしないんで、こういうの。 大丈夫です。じゃ、これの会計お願いしますわ。 」

三郎太が頭を掻きながら、頭を伏せ続ける多宝丸に笑いかけた。

「そうですか。」と言いながら、多宝丸が伏せていた顔を上げると、
そこには怒りを堪えたような表情を携えていた。

予想だにしなかった状況に、三郎太は一瞬とまった。

しかし、何かを察したのか、すぐに口元に笑みを浮かべ、「そういうことか。」と呟いた。


「 ちょっと、来てもらえますか? 」

多宝丸は、先ほどのお詫びの声とは打って変わって、ある種、脅迫的な声でそう言うと、
踵を翻し、事務室の方へと歩き出した。
三郎太は、口元の笑みを手で隠すように押さえ、その後ろを楽しそうに付いていった。




次回予告

『 事務室で繰り広げられる男と男の男を取り合うバトル!!!
 「あいつは、俺の男だ!」「たしかに。だが、以前の話だ!」いがみ合う男二人!!
 そこに突如乱入してきた名探偵不知火!!男と男と男の男を取り合うバトルへと発展していく!!
 そんな中、田之介に慰められる百鬼丸。「そう気を落とすなよ、俺も過去に色々あったさ。」
 田之介の過去話から、衝撃の事実が発覚!!まさか、田之介が失踪したどろろの担任!!?
 そして、愛娘どろろは新担任「イタチ」に初恋か!?なんだってんだ、この胸の痛みは・・・。 』


次回
「 “兄さん!!もう、パートなんか辞めてよ!!!”副担任美咲の悲痛な叫び!! 」
を乞うご期待。



( ※ すっすごい・・・。前回の話から続いてしまった。自分の妄想力がお・・恐ろしい。引かないで下さいっっ )
( ※ 今回の笑いポイント、キシリトールガムと次回予告にしか入れれなかった・・・。無駄に話が真面目でやばい・・。)
( ※ 前回よりも、120%増しで、ボーイズラブうんぬん率が上がってしまいましたが、具合悪くなられた方、すいません!!)





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