初めて女とヤッた時、あまりにも女が赤ん坊のような声を上げるから
「少し黙って」と言うと
事が終るまで無言で睨まれた。
そんでイク時、鼻で笑われた。

女の喘ぎは十中八九演技だ。
女って奴は鬼より恐いと知った。
正直言うと、それ以来勃たなくなりまして
15歳でインポになるとは想像だにしていませんで・し・た。
もう一度言う、いや、言わせてくれ
女って奴は神より恐い。



昼過ぎの屋上。もうとっくに授業ベルは鳴り終えた。
優等生の子羊ちゃん達が、黒板に噛り付いてセンセーのうんちく聞いてるおネムの時間だ。
「元気ないなぁ、あにき。どうしたんでぇ?」
「なんでもねぇよ」
俺の隣にいる子分は至って呑気だ。それこそ羊並みに。
女の癖に俺たちの仲間として堂々と存在しているコイツには、
男の悩みなんざまったく知れないさ。
それどころか知ったかでものを話してくるんだから、タチが悪い。

基本的に悩みなんざ人に言わない方がいいのだ。
なんで己にとって不幸な話を、他人に話す。そんなの不幸の押し売りだ。
どうせなら、もっとパアっと俺も相手も景気付く様な話をだ、するべきだと思うのだよ。
「どう思う?どろろくん。」
「ぁい??突然なんでぇ、あにき?何をどう思うんで?」
「幸せについてだよ、馬鹿野郎(んなこと考えてたわけじゃねぇけど)」
「幸せ・・・・オイラは今が幸せかなぁ」
「意味がわからん。幸せってのは、こんな風に屋上でシケってることかよ。
もっとさ、幸せってのは、例えるなら電撃がくるような感覚だと思うぜ。」
「例えば?ドラッグ?」
「それはさ、お前。その時限りの中枢神経の興奮だろ?んなもん幸せじゃねぇよ。
電流は電流だけどよ・・・お前、ほんまもんの電撃で考えるなよ。
次に雷とか言ったらぶっ殺すからな。」
「え・・・、かっ雷なんて、んな単純なこと誰が考えるかよ。
オイラはもっと知的に、そっそうだ、恋とか!!そうだよ、あにき恋ですぜ」
「はっ、ビビビってきたってか?どこぞの記者会見だ馬鹿。・・・・・まぁ〜でも、悪くはねぇなぁ。
恋ねぇ・・・どうせなら、演技ぶらねぇ、純粋無垢な女がいいなぁ。」
「・・・あにき、そういう趣味だっけ?」
「悪いかよ。言っとくがな、チャラい女は遊び専だぜ。
男なら誰だって、純粋無垢な女を一番にしたいと思うわけよ。」
「へぇー、やっぱそういうもんですか。じゃあ、オイラも遊びなんすかね?」
「はぁ〜?何言ってんの、お前。遊びとかそういうレベルじゃねぇだろ、お前はランク外です。」
「いや、別にあにきにとってじゃねぇよ。工業高校の三郎太にとってってこと。」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・え・・」
「・・・や、そういうこと。」
「・・あ、え?・・お前・・・だって・・」
「結構前々からなんだ。」
「・・・・・・あー・・そうですかぁ・・」

顔を赤らめる子分を見て、俺はやっぱり確信したんだよ。
工業高校のあいつはどう思うか知らねぇが、あったらこれだけは忠告しておきたい。

『女って奴はな・・・・』






完 08.01.15 -corn beef-







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